遺言書作成

遺言書とは

ここでは、遺言書について確認していきましょう。
遺言書とは、民法で定められた「誰に」「何を」「相続させる」を決める事ができる唯一の法律行為となります。
ですから、お手紙のように書いた書類に「妻に自宅を相続させる」と書いてあっても、効力を発揮しません。
法律に沿った様式で記載していく必要があります。

遺言は一般的に「ゆいごん」と言われ、死後に残る自分の財産を誰にどうやって分配 するか等を書き記すものです。
遺言がだいたいどのようなものかは、多くの方がイメージできると思います。
しかし、実際には民法によっていろいろな決まりごとがあり、法律の形式に従って正しく 作成しなければ、その遺言は無効になってしまったりします。 このことは、案外知られていません。

目次

1.遺言書とは

遺言書とは財産を所有する人が自分の死後に財産をどう分けるのかの意思を示したものおよび書面のことです。

遺言書では財産の分け方について意思表示をし、自分が渡したい人に財産を譲ることが可能となります。この遺言書が無い場合、故人の遺産の分け方について相続人全員で話し合い決定します。

この話し合いの際に、全員の合意がないと遺産分割できないため、相続人間で「不公平だ」などというトラブルがおき、家族や親族間の関係がこじれて疎遠・絶縁になってしまうこともあります。

そのため、事前に遺言書を作成しておくことはご自身のためにも、残される家族のためにも重要なことになります。
また、相続人となる方は法律によって定められており、法律で定められた相続人を「法定相続人」と言います。

遺言書と遺書の違い

遺言書と遺書を同じものと認識されている方もいらっしゃるかもしれませんが、遺言書と遺書には明確な違いがあると言えます。

遺言書は遺産の分け方を示した法的な書類ですが、それに対して、遺書は自分の気持ちを記した手紙のようなものであり、法定効力はありません。(ただし、遺書が遺言書としての要件を満たしている場合は除く。)

法的効力を持つ遺言書の要件については後述いたしますが、まずは遺言書ではどこまでのことを指定することができるのかについて確認しましょう。

2.遺言書でできること

遺言書に記載することで法的に効力を持つことができるのは下記の内容になります。

①遺言書でできること:誰に何を渡すのかを指定することができる(相続分や遺産分割方法を決める)

遺言書で誰に何をどのくらい渡すのか明示することが可能です。
遺言書であれば法定相続人ではなくとも、お世話になった人などに財産を譲ることも可能となります。

②遺言書でできること:相続する権利を剥奪が可能(相続人の排除)

本人が特定の相続人から虐待や侮辱などの被害を受けていて、その方に財産を渡したくないなどの場合、その相続人から相続する権利を剥奪することができます。
すべてのケースで剥奪できるわけではないため、専門家にご相談して下さい。

③遺言書の効力:遺言執行者を指定できる(遺言執行者の指定)

遺言書の内容を執行する人を指定することができます。遺言執行者を指定しておくことで相続手続きを速やかにおこなうことができるでしょう。
この他にも信託の設定ができたりと遺言書には様々な活用方法があります。
遺言書作成のプロに依頼をするとトラブルになりやすい部分も考慮した遺言書が作成できます。

3.遺留分とは

遺言書では誰にどの財産をどのくらい渡すのか決めることができるとお伝えしましたがどれくらい渡せるかについては厳密には違います。例えば、この人だけに全てを譲るなどと指定することはできません。

理由は一定の範囲の法定相続人には遺産を最低限相続できる権利が定められている為です。(法定相続人には当然相続できるとの期待がある。)
この遺産を最低限取得できる権利を遺留分と言います。

4.遺言書の種類

通常時に作成できる遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。
法的効力に関してですが、この3種類であればどの遺言書でも法的効力を持たせることが可能です。

しかし、正しい方式で作成しないと無効となり意味をなさないためそれぞれの長所・短所とともに、どのようにして作成すればよいか解説します。

4.1自筆証書遺言とは(自筆で作成する遺言)

自筆証書遺言とは、自分の手で書いた遺言のことです。全体のイメージでは、遺言の全文と、日付、氏名を自分の手で書いて、押印をする流れとなります。

自分の手で書く必要があるため、パソコンで作成したものについては効力を持たないということに注意が必要です。もちろん、他人が作成した場合についても無効となります。(※ただし財産目録についてはパソコンでの作成や通帳のコピー等の使用が可能)

自筆証書遺言のメリット/デメリット

メリット

〇一人で作成できる
〇費用がかからない
〇遺言の内容を秘密にできる

デメリット

〇紛失、書き換えの心配がある
〇遺言書の方式に問題があった場合は、無効の可能性がある

お手軽に作成が可能ですが、一方で書き方に漏れがあり無効となってしまう恐れも多いのが自筆証書遺言です。
そのため、自筆証書遺言を作成する場合には行政書士等の専門家に相談しながら進めるのが良いでしょう。

また、書き換えられたり、紛失する危険性がありますので、第三者機関にお願いして保管して
もらうこともできます。行政書士であれば、守秘義務があり安心して保管ができます。

4.2公正証書遺言とは(遺言者の依頼を受け公証人が作成する遺言)

「公正証書遺言」という名前の通り、公正証書による遺言で、公証人が作成します。

公証人とは、裁判官や検察官など過去に法律実務に携わったものから法務大臣により任命された法律の専門家であり、中立的な立場で公文書である公正証書を作成する人のことです。

公正証書とは、国の機関が作成して保管する書類で、紛失や偽造の心配がなく、確実な証拠となります。
お金を貸し借りがあった時や、離婚の協議をした時など、その事実を確実に残したいときに、公正証書が作成されます。

2人以上の証人が立ち会う必要があり、配偶者とか子供とか相続の対象になる人は証人になれません。身近な人にはお願いしにくい面がありますので、行政書士などの専門家に依頼する方が多いです。

公正証書遺言のメリット/デメリット

メリット

〇内容と形式について正確性の高い遺言書を作れる
〇紛失や改ざんの心配がない
〇相続開始後に、家庭裁判所で検認してもらう必要がない

デメリット

〇遺言の内容を知られてしまう
〇費用がかかる
〇証人を立てる必要があるため、手間がかかる

プロの専門家が作成して保管するため、紛失したり書き換えられたりする心配がありません。
一方で、費用がかかりますし、証人を依頼する必要があり時間や手間がかかります。
遺言の内容を証人には知られてしまいますので完全に秘密裏に作ることはできません。

当事務所に依頼していただいた場合には信頼できる証人もこちらが行いますので、ご安心いただければと思います。

4.3秘密証書遺言とは

ほとんど活用されていませんが秘密証書遺言というものもあります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の特徴が合わさったようなものです。

秘密証書遺言とは、公証人と証人2人以上に遺言書の「存在」の証明をしてもらいながら、公証人、証人、相続人含め、本人以外内容を見ることができないので、遺言内容を「秘密」にすることができる遺言書の形式です。

遺言の内容を秘密にしながら、遺言の存在を確実にできることが良いところです。
その一方、自分で保管するため、紛失する心配はやはりありますし、封印した中身は他の誰も見ることができないため、遺言の方式を間違えていると無効になる可能性もあります。

報酬額

自筆証書遺言起案52,500円~
公正証書遺言起案60,000円~※
秘密証書遺言起案60,000円~※

*公正証書遺言は別途、証人2名(1名¥10,000)の費用がかかります。

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